非上場企業の経理が簿記1級レベルを勉強して感じたこと

働き方

「簿記1級の勉強は本当に意味があるのか」

「実務でどこまで役立つのか」

これは、未経験から経理になった私が何度も考えていたことです。

当時勤めていたのは非上場企業でした。

親会社は上場企業だったため、収益認識基準など上場企業に準じた会計処理を求められる場面もありました。

私自身、日商簿記1級の勉強を続ける中で、同等レベルとされる全経簿記上級に合格しました。

実際に働いて感じたのは、簿記1級レベルの知識を日常的に使う場面は多くないということでした。

ただ、処理の背景を理解したりするうえで、学んだことは確かに役立ちました。

この記事では、非上場企業の経理として働く中で感じた、簿記1級レベルの知識との距離感についてまとめます。

勉強を続けるべきか迷っている方の参考になれば嬉しいです。

簿記1級レベルの知識は実務で必要か

非上場企業の経理では、日常業務の多くは簿記2級レベルの知識で対応できます。

仕訳や請求処理、月次決算、税理士さんへの資料準備など。

こうした業務は、1級の高度な論点を知らなくても進められるものが多いです。

私も経理を始めた頃は目の前の処理をこなすことに必死でした。

その中で、

なぜこの仕訳になるのか。
なぜこの資料を親会社に提出するのか。

こうした疑問を考えるきっかけになったのが、簿記1級レベルの学習でした。

マニュアル業務から一歩進めた変化

経理の仕事には、前年踏襲やマニュアルに沿って進める業務が多くあります。

決められた手順を守ることは大切です。

特に経理をやり始めたころは、まず正確に処理できるようになることが優先でした。

一方で、前例のない取引が出てくると、マニュアルだけでは対応しきれないことがあります。

そのときに役立ったのが、「どの論点に近いのか」を考える力でした。

調べる方向性が分かるだけで、業務の進めやすさは変わります。

学習を続けるうちに、基準を調べ、必要であれば専門家に相談する流れを作れるようになりました。

教科書の論点が役立った瞬間

印象に残っているのは、支店移設に伴って、資産除去債務の検討が必要になったときです。

もし勉強していなければ、言葉の意味を調べるところからのスタートでした。

テキストで一度学んでいたことで、論点の全体像を思い出しながら資料作成に取り組めました。

収益認識基準に関わる取引でも、学習経験が助けになりました。

親会社が上場企業だったため、売上をいつ認識するかについて、慎重に確認する必要がありました。

試験勉強中は遠く感じていた内容が、実務とつながった出来事でした。

実際に私が2年半続けた簿記1級の勉強法や、利用した講座については、こちらでまとめています。

連結パッケージの意味が見えるように

当時勤めていた会社では、親会社へ提出する連結パッケージを作る業務がありました。

最初は、指定されたフォーマットにただ数字を入力するという作業でした。

簿記1級レベルの連結会計を学んでからは、その資料がグループ全体の決算にどう使われるのかをイメージできるようになりました。

流れが見えると、確認するポイントも変わります。

単なる作業ではなく、グループ決算の一部を担っているという意識が生まれました。

専門家との会話がスムーズに

簿記1級レベルを勉強しても、実務上の疑問をすべて自分で解決できるわけではありません。

むしろ、税理士さんや会計士さんに確認する場面は多くありました。

そのときに違いを感じたのが、相談のしやすさです。

会計用語や基準の考え方をある程度知っていると、相手の説明が理解しやすくなります。

こちらから質問するときも、「何が分からないのか」を整理しやすくなりました。

実務では、正解を一人で抱え込むより、必要な人に適切に確認することが大切です。

そのための共通言語を持てたことは、仕事を進めるうえで大きな助けになりました。

実務では使わなかった論点もある

もちろん、勉強した内容のすべてが実務で役立ったわけではありません。

事業分離、企業結合会計、高度な外貨建取引、特殊商品売買などは、私が経験した非上場企業の経理ではほとんど登場しませんでした。

試験勉強では、かなり時間を使った論点です。

ただ、直接使わない知識にも意味はありました。

例えば、企業再編のニュースや会社の組織変更を見たとき。

会計上何が起きているかを、以前より理解しやすくなりました。

また、資産運用を始めてからは、企業の決算や経済ニュースをより身近に感じるようになりました。

簿記の勉強で身についた視点は、現在の資産形成にも活きていると感じています。

履歴書には書けない「安心感」

実務以外の部分でも、勉強した時間は私を支えてくれました。

特に大きかったのは、知らない業務に対する不安が少し和らいだこと。

経験したことのない業務でも、知識として自分自身のベースにあると思うと、安心感につながりました。

転職活動では、全経上級の知名度が日商簿記1級ほど高くないことに、もどかしさを感じたことがあります。

それでも、面接で学習を続けてきた過程を話すと、前向きに受け取ってもらえる場面がありました。

資格名だけでは伝わりにくい部分も、積み重ねてきた時間が自分の言葉を支えてくれたように思います。

日商簿記1級と全経簿記上級の違いについては、こちらの記事で詳しくまとめています。

学びが働き方の土台になる

簿記1級レベルの知識は、非上場企業の経理に必須とは言い切れません。

日常業務だけを考えるなら、簿記2級までの知識で対応できる場面も多いです。

それでも私は、勉強してよかったと思っています。

今の税理士事務所での仕事や、資産運用を組み合わせた働き方を選べた背景には、簿記や会計を学んできた経験があると感じています。

現在の税理士事務所での働き方については、こちらの記事で詳しくまとめています。

収入を最大化するよりも、自分のペースで働くことを大切にしたいと思うようになりました。

学んだ時間そのものが、今の働き方を支える土台になっています。

もし今、「この勉強に意味があるのだろうか」と迷っているなら、すぐに答えが出なくても大丈夫だと思います。

学んだことがそのまま実務に出てこなくても、後から自分を助けてくれる場面はあります。

少しずつ積み重ねた知識は、自分らしい働き方を考えるうえで、静かな支えになってくれるはずです。

未経験から経理を始めたときの理想と現実については、こちらの記事にまとめています。

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